publication
詩画集 あわいと暮らす (詩・画: 赤松亜美 2018年)
日々の自然の中での暮らしで見つけた”あわい”をテーマに詩と画にしたためました。
赤松さんの絵は、とてもやさしくて可愛らしい。不思議な感じもするし、神秘的でもある。形がないから、何に見えるのかを試されているような気持ちになる。
そんな彼女が詩も書くのだという。はたして、どんな言葉をつむぐのか。ちょっと緊張しながら開いた作品集には、あっけないほどシンプルでまっすぐな言葉がならんでいた。可愛らしくて何でもない言葉たちが、ちょこんと座ったり、とことこ歩いたりしている。それはまるで、隣に座っている仲良しの友達のひとりごとみたいに、耳からするんと入ってくる。
そうか、この絵は、赤松さんの目から見た日常なんだ、と、わたしは初めて理解した。赤松さんは別に、謎めいた抽象画で誰かを惑わしたいとか、美しい色で芸術を極めたいとか、そんなことを考えているわけではなく、いつも見ているなんでもない日々の、このうえなく美しい一瞬をどうやってキャンバスに表そうかと試行錯誤した結果が、この絵なんだ。 いつも言葉に紐づけされて飛び立てないわたしは、赤松さんの絵を通してあわいの世界をのぞきこむことができる。手を止めて空想することができる。そして、世界はもっと大きくやさしいのだということを思い出す。
―― 詩画集“あわいと暮らす”出版に寄せて 寒竹泉美(小説家)